ダイオキシン

ダイオキシンは、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられるゴミ焼却場や、自然界では森林火災、火山活動などで生じます。無色無臭の固体で、水にはほとんど溶けず、脂肪には溶けやすい性質を持っており、肝臓や皮下脂肪に蓄積します。ダイオキシンはいったん体内に蓄積されると、体外に排出されにくいだけでなく蓄積量が半分になるまでに5年から10年という長い時間がかかります。

急性毒性と慢性毒性


人工物質としては最強の毒であるといわれるダイオキシンですが、その毒性は日常の摂取量の数十万倍もの量を一度に摂取した場合の毒性です。それより、私たちが考えなくてはならないことは、毎日の生活の中で体内に蓄積されたダイオキシンが身体に及ぼす影響、すなわち慢性毒性です。ダイオキシンの慢性毒性については、動物実験の結果などから、発がん性、生殖・発生毒性、免疫毒性が報告されています。しかも、ダイオキシンは1兆分の1グラムというきわめて少ない量でも毒性を発揮するといわれています。


ダイオキシンが体内に蓄積されるまで


体内に蓄積されるダイオキシンの95パーセントは食物から、残りの5パーセントは大気中から体内に取り込まれます。なんらかの形で生成され、大気中に排出されてしまったダイオキシンは、大気中の粒子などに付着して地表の土や水に入り込み、河川などを経由して、湖底・海底などに蓄積され、プランクトンなどの微生物から食物連鎖によってより大型の魚介類に取り込まれ、蓄積されていくと考えられています。